「蝶の道行」目当てで第一部のチケットをとりました。
今確認したら、1年以上文楽を見てなかったのね。そのせいかエライ楽しかった
「八陣守護城」
中村魚眼・佐川藤太作。初演は文化4年(1804年)、道頓堀大西芝居である。徳川家康による豊臣家攻略を、加藤清正の毒殺という俗説と真田幸村の軍略を中心にした物語で、今回は四段目・八段目の上演(というパターンが多いそうな)。
徳川家への批判に繋がることを恐れ、登場人物は以下の名前で登場する(内は原作)。
加藤清正=佐藤正清(加藻朝清) 加藤忠広=加藤主計之介 徳川家康=北条時政(北畑春雄) 後藤又兵衛=児嶋元兵衛 池田輝政=森三左衛門 島津義弘=大内義弘(真田幸村=正木雪聡)
小田家に代わって天下を狙う北条時政は、小田家の嫡孫若君へ将軍宣下を行う役目の勅使に通じ、天盃に毒を仕込んで供応役の佐藤正清へ飲ませる。時政の代理で勅使を迎えた重臣の森三左衛門は正清を欺く為にこれを受け、死に臨んで主へ諫言をするが聞き入れられない。
時政は、正清の様子を探る為に間者を放つが、確かに盃を受けた筈の正清の様子は変わらないので不審を抱く。実は、春若君守護の見通しが立つまで必死に体の異常に耐えていた正清であった―。
今となっては、後70年弱で江戸時代は終わっちゃうような頃の改名がとても空々しく感じるし、戦国は遥か昔のことなのにこの種の御芝居を作り続けるあたり、江戸に天下を奪われた大坂人のルサンチマンを見て感無量になったりする(あ、「プリンセス・トヨトミ」読まなきゃ)。
いかにも丸本の時代物らしい、おどろおどろしいあざとさの目立つ作品
と歌舞伎で見た時には思ったのだが、お人形だと案外気にならず、戦国を生きた漢の心意気を感じさせて大変面白く見ることが出来た。
加藤正清が、懐の深いいい男として描かれている。時代物のオトコにありがちな男馬鹿ではない。男馬鹿な面と同時に、女子供の心情を汲み取って十分に応えてやれる、柔らかで繊細な感性を豊富に持っている人だと思った。それが大詰の「本城の段」。優しい面はお父さんに任せ?典型的な男馬鹿として描かれている主計之介に離縁状をつきつけられ、絶望して自害した雛絹(森三左衛門の娘)の為に、軍旗に息子と彼女の名前を並べて書き、「敵となり味方となるもこの世の業」と言葉をかけてやるところ、本当に素敵だった。
又かっこいいお人形だし。特に「浪花入江の段」で御座船がぐるっと回って横顔を見せるところが、悠然たる武将の貫録が光って素晴らしい。遣うのが玉女さんだから余計に引き立つのだが…
玉女さん、髪の量が増えたような…
ゆったらいけないこと??
雛絹もいい。しっかり者のお嬢様だけれど主計之介の前ではでれでれしちゃうギャップとか。
ところでこの作品は、適当でどうでもいいような人達―観客と等身大の存在―が面白い。万古不易、腰元達の女子トークは勿論
(咲甫さんが語るのがなぜかとっっても感じ出てた
)、敵役の鞠川玄蕃が傑作である。
与勘平という、愛玩犬のような顔つきの頭の彼は、雛絹にぞっこん。勤務時間中なのに「どうじゃぞいの」すがりついてといきなりくどきにかかるし、雛絹母・柵に咎められると「仕方ない」とばかりに求婚するのだが、その台詞があまりにストレートすぎて可愛い
「かねがね拙者大執心でござれば」
大詰では妖術使いという裏の顔も見せちゃう彼だけれど、中々客席の笑いをさらっていた。
「契情倭荘子―蝶の道行」
今月の本命。ついに本業で見られます
人形の助国と小巻は、古風でのんびりしていて、微笑ましいカップルとして登場した。助国の扇に小巻が止まるところ、蝶々らしさの表現だとは思うんだけど、フィギュアかアイスダンスを思わせて斬新だった。
責め苦を表現する後半は、舞台に火を思わせるものは何もない代わり、大夫が、三味線が、人形遣いが彼等をとことんまで責め苛んでいるように見え、客席に緊迫が走る。幕と同時に、我に返ったような拍手。何という残忍で、美しい趣向だったろう。
満員だった。来月の若手会も売り切れていた。よかった。





ロン・

(あの子鬱陶しかった)



に書き忘れたので、ここに書いとくね。
by はるき
南座デビューっ